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場面緘黙症とは?

​ ​特定の場面において「声を出すこと」「話すこと」が困難になる精神疾患です。「自宅で家族と話せるけど,学校・職場等で家族以外と話すことが難しい」という状態が多いです。発声・発話への恐怖がなく,快適に発声・発話が可能な場面がある一方で,発声・発話への恐怖があり,不安や緊張が強く発声・発話が困難になる場面があるのが特徴です。そのような場面で1か月ほど経過しても,一向に不安や恐怖に変化がない(発声・発話が困難である)場合には,場面緘黙症の可能性が考えられます。

 場面緘黙症は,医学的には「場面緘黙」と表記されます(DSM-5-TR※)。不安や恐怖が過剰となり,生活に支障をきたす「不安症」に分類される精神疾患です。生活のなかでの適切な工夫や支援が必要な状態として捉えられるように,また当事者の性格や個性として誤解されないように,「症」を付けることで「症状」として認識しやすくなると考えて,当グループでは「場面緘黙症」という表記を採用しています。
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 「話したい」「声を出したい」と心の中で何度も思っているのに,なぜか声が出ない。自分ではコントロールできない,そのような状態に当事者は悩み,苦しんでいます。精神疾患は,主に脳の働きの変調によって感情・思考・身体・行動の調整が困難になる状態があります。その状態には,脳の働きの変調以外にもさまざまな要因が複雑に絡まっています。そのため,症状が維持されているメカニズムを整理し,その悪循環を踏まえた専門的な支援や適切な環境調整が必要です。また,状態によっては,医療機関(精神科等)でお薬による治療を受けることも選択肢となります。​​​

場面緘黙症の概要説明(HP用).png
場面緘黙症の主症状1(HP用).png
場面緘黙症の主症状2(HP用).png
場面緘黙症の随伴症状(HP用).png

社交不安症とは?

​ 場面緘黙症と同じく「不安症」に分類される精神疾患です。他人の注目を浴びる可能性がある場面で,「他人からどう見られているか」に対する強い不安や恐怖を感じます。単なる「人見知り」や「あがり症」とは異なり,6か月以上,強い不安や恐怖が持続し,日常生活や社会生活に支障が出てしまうことが特徴です。他人からの否定的な評価に対する恐怖が中核症状であると考えられています。「もし失敗したらどうしよう」「笑われてしまったらどうしよう」と人前で何かをすることが怖くなり,他人の視線に恐怖を感じたり,他人との交流を避けるようになってしまいます。失敗や恥を感じる場面,他人から嫌われたり,拒絶されたりする事態を徹底的に避けたくなります。

​ 場面緘黙症と社交不安症は,どちらも「社会的な場面における不安と回避」の特徴があるため,重なるところが多いです。場面緘黙症を「重度の社交不安症」として考える見方もあります。一方,異なる特徴としては,場面緘黙症は,他者との関係で言葉以外のコミュニケーションを楽しみ,避けない場合もあります。つまり,話すことが求められるような場面を除いて,社会的な場面自体には不安を感じずに生活することができるということです。社交不安症は,あらゆる社会的な場面自体を避ける傾向はありますが,発声・発話は困難ではないことがあります。

 場面緘黙症が長期化したり,思春期以降になってくると,場面緘黙症の中核症状である「発話恐怖」によって発声・発話が抑制される割合よりも,社交不安症の中核症状である「否定的な評価に対する恐怖」によって発声・発話が抑制される割合のほうが大きくなる可能性があります。その場合には,社交不安症に対する支援や治療も必要になります。

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